MINEZAWA サクセスストーリー

MINEZAWAの名にかけて〜インドネシアでの挑戦〜

インドネシア現地法人 PT.MINEZAWA TRADING INDONESIA 代表

倉持太希(1999年入社)

舞台は、世界へ

インドネシアはジャカルタの東に、ブカシという街がある。首都に隣り合うベッドタウンでありながら、多くの日系企業が進出する工業都市の一面ももつ。日本から遠く離れたこの地に、MINEZAWAブランドを掲げて奮闘するスタッフがいる。彼の名は倉持という。

倉持がインドネシアに赴任したのは、2014年のことだ。MINEZAWAはユーザーの海外進出をサポートするため、2000年代からグローバル事業を展開。中国、タイ、メキシコに現地法人を設立している。
倉持に託された舞台はインドネシア。豊富なエネルギー資源を有し、近年経済が急成長・今後のさらなる発展に世界中が熱い視線を送る国だ。現地赴任を打診された時、不思議と迷いはなかった。入社からまもなく15年、社内でも中堅に差し掛かろうという頃。「今までの経験を活かして、新しい場所で自分を試してみたい。」考えれば考えるほど、思いは強くなった。
こうして、倉持はインドネシアでの挑戦をスタートさせた。

まず、コトバありき

インドネシアでの仕事は、
・現地メーカーによる治具・製罐・設備業者による設計・製作
・日本製品の輸入販売
・インドネシア国内製品の販売
など多岐にわたる。いかに現地のMINEZAWAスタッフや仕入先と、指示・情報共有できる関係がつくれるか、が重要なのだが、倉持はここで「コトバ」の問題にぶつかる。

当初は現地で日本語を話せるスタッフを雇い、通訳させながら仕事をしていた。しかし通訳を介すると、こちらの意図や熱量がきちんと伝わっていない、と感じた。実際、現場で同じミスが繰り返された。
倉持は、現地MINEZAWAスタッフをとりまとめる身として、自らを省みた。やはり、語学あってのコミュニケーションではないか?サッカー選手だって、ヨーロッパで成功しているのはみんな現地のコトバを話せるプレイヤーだけだ。

倉持は仕事に打ち込む傍ら、空き時間や夜・休日も寸暇を惜しんでインドネシア語の勉強に明け暮れた。もちろん、語学をマスターしたからといって、日本と同じように仕事が進むわけではないことくらい分かっている。それでも彼は、覚えたばかりのつたない単語を使い、この国のMINEZAWAスタッフとこの国のコトバで、ディスカッションを重ねた。その一言一言が、彼らとの信頼関係の構築につながると信じて。

ピンチと失敗に学ぶ

携帯電話が鳴る。その響き方に、良からぬ兆候を感じながら電話に出ると、得意先からだ。「倉持さん、この配管の径は問題ないですよね?」
先日受注いただいた、排気ダクト工事の件だ。配管の施工デザインは現地施工業者に依頼、納品も終わり、ちょうど取付工事を開始したところだった。
「圧力損失の計算はしていますか?」つまり、液体がスムーズに通る配管サイズになっているかとの問い合わせだ。一旦電話を切り、デザイン製作を手がけた仕入先業者の元へ車を走らせた。

「計算はできないって…どういうことですか!?」倉持は唖然とした。仕入先業者に状況を説明し、圧力損失に問題がないことを証明する計算書類の提出を求めたところ「NO」という答えが返ってきたのだ。
「特に計算はしたことはありません。ただ、いつもこの配管径でやっているから問題ないかと。」
こうなった以上、仕入先を頼ることはできない。お客様に“できない”とは言えない。倉持は腹を決めた。日本から流体力学に関する参考書を取り寄せたのだ。「俺がやるしかない。」

脳裏にあったのは、お客様からの信頼を損なわず“安全”に仕事を進めるというMINEZAWAのマインドだ。圧力損失を自分で計算したことはなかったが、安全という自社の価値を守り続けるために、自分にできることをやるだけだった。
倉持による計算の結果、圧力損失に問題はなく、お客様に安心して施工いただくことができた。得意先にも、改めて「安全・MINEZAWA」への信用を深めてもらうきっかけとなったと、倉持は思っている。

『仕事に失敗はない。失敗は成功のプロセスに過ぎない』倉持のモットーだ。
自分も現地のMINEZAWAスタッフも、誰もが仕事で失敗する。その失敗を活かして成功に結びつける、あるいは今回のようにピンチをチャンスに変えられるかどうかは、本人次第。方法はひとつではない。
倉持は現地のMINEZAWAスタッフにアドバイスするとき「自分で考え、決断して、実行する」その大切さを伝えている。

MINEZAWAを掲げる責任

「納期3日前なのに…」倉持は焦っていた。製品が、届かない。
以前クライアントから加工品製作の依頼を受けたのだが、高い精度・精密さが求められるデザインだったため、サンプルを1つ作り、お客様に問題のないことを確認いただいた上で受注した案件があった。
ところが、サンプル1点の製作以降、肝心の加工品ができあがってこないのだ。危険な予兆を感じた倉持は、現地の仕入先へ急行した。 仕入先にて待つこと数時間。できあがった加工品を目にした倉持は思わず顔を覆った。「…これでは、いけない」
そこにあるのは、図面寸法にも入らない、NG品だった。どうやら、サンプルを製作した作業者が退社してしまったらしく、同等の加工技術を持つ職人がいないようだ。

そこからの倉持の行動は早かった。まず翌朝に、日本の業者へ加工品の製作図面を発送。「この加工品を作る手順と必要な加工機を教えてくれませんか?」その後仕入先をまわって、製作に必要な加工機を持つ業者と製作手順の打ち合わせ。その足でクライアントへ向かい、状況説明と納期の交渉。製作期間中は現地スタッフと仕入先へ毎日出向き進捗を確認しながら、無事納品までこぎつけたのだ。

毎日のように訪れ工程を見守るMINEZAWAスタッフを見て、仕入れ先の社員が「あなたたちはどうしてそんなに真面目なんだ」と不思議そうに聞いてきたことがあった。「お客様との約束を守るためです」倉持は胸をはった。

この国と成長する

インドネシアでの仕事は日本と異なる環境のため大変なことも多いが、その分毎日が刺激に満ちている。仕事のために1日8時間も費やすのだから、いまの環境を楽しまないと損だ。
倉持は“小さな目標”をたくさん作り、日々努力を重ね、達成することでモチベーションを作ってきた。モチベーションは会社や仲間が与えてくれるものでなく、自分で作り出すものだというのが彼の持論だ。

この街で達成してきた“小さな目標”を、指折り数えてみる。これからやるべきは、現地のMINEZAWAスタッフ一人一人が主役になり、積極的にチャレンジできるチームづくりだろうか。ブカシの夕空を眺めながら、倉持はまた新たな目標を立てた。

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